屍の孤島
我に返ったのは秀一も同じだった。

そして我に返った所で、この現実にどう対処していいかわからない。

うろたえて視線を泳がせる彼の目に。

「っっ…!」

更なる常軌を逸した光景が飛び込んできた。

港から陰島の市街へと続く道路。

その道路を歩いて…いや、摺り足で近づいてくる一団があった。

ズルズルという引き摺るような足音。

歩みは限りなく遅く、まるで脚を負傷でもしているかのような歩き方。

一団の皆が皆、その不自然な歩き方をしているのは異様な光景だった。

徐々にその一団との距離が詰まってくるにつれて。

「なんてこった…」

秀一は思わず呟く。

その摺り足の一団もまた、老人を襲った男同様の『生きた死体』だったのだ。

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