屍の孤島
泣き叫ぶ奏を追う亡者の群れ。

逃げる奏。

だが闇雲に逃げた所で何も変わらない。

今は奏の方が走るのが速い分、追いつかれる事はない。

しかし奏も無限に体力が続く訳ではない。

いずれはスタミナが底を尽き、走れなくなり、そのうち歩く事さえ儘ならなくなって足が止まる。

その時こそ最期だ。

彼女はゾンビ達の腕力に抗し切れなくなって地面に押し倒され、全身に食らいつかれる。

その末路を想像し、自然と涙が溢れ出た。

凄惨な結末を想像すると、体の底から恐怖に支配される。

心が折れ、今にも脱出への希望を失いそうになった。

< 50 / 199 >

この作品をシェア

pagetop