屍の孤島
走り続けるうち、港の駐車場の方へと辿り着いた。

何台も何台も乗り捨てられた車達。

きっとここに車を駐車している途中で、ゾンビに遭遇してしまった人達のものだろう。

駐車スペースの枠におさまらないまま、放置された車が多く見受けられる。

その車達を縫うように走る奏。

車がちょうど障害物になる形で、ゾンビ達も奏を追うのに苦労している。

今のうちに距離を稼がないと。

必死になって歩を進める。

…もう十分に疲労は蓄積されていた。

こんな異常な状況に一人放り出されてしまった緊張感と、ひたすらに走り続けていた事による体力の消耗。

本来ならば一歩も足が前に踏み出せないほどに、奏は疲れきっていた。

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