幕末純想恋歌

京の町。ひだまりの町。

「さて、行こっか!」

沖田がさっさと歩き出す。

ただの村の風景だが葵には珍しく、眺めていたら置いて行かれた。

「ま、待ってください!!」

あわてて葵が追いかける。

「置いてかないでくださいよ。」

「だって君がぼけっとしてるからさ。町までは微妙に距離があるからさっさと行かないと。ほら、たったかた。」

……なんか子供扱いされてる……。

だけど、歩調は緩めない沖田。

必然的に小走りになる。  

……もっと足が長ければ。

「遅いよ、て、あれ?もしかして僕速すぎ?君、ちっちゃいから。」

…………。

……落ち込む。

でも、背が伸びないのは自分のせいじゃない。絶対!!

「…ゴメン、ゴメン。落ち込まないで?」

ニコニコ笑顔で言われても本当に謝ってるとは思えない。

でも、沖田はさっきよりゆっくり歩いてくれるようになった。       
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