幕末純想恋歌
この時代に来たときは夜だったし、そんな余裕はなくて町並みなんか見てなかった。

初めて見るこの時代の昼の京。

人が多くとても賑やかだ。

人々の表情は穏やかで、聞こえてくる柔らかい京言葉も和やかだ。

とても平和そうで人斬りなんかが起きるのが信じられないくらいだ。

そしてはんなりとしてとても綺麗だ。

「沖田さん、京ってすごいんですね!!」

「うん。始めてみるとやっぱりそう思うよね。江戸から来たとき驚いたもん。さすが、都だよね?」

ゆっくり歩きながら沖田が言う。

「ほら、あんまりきょろきょろしないの、ぶつかるよ。お店はこっち。行くよ?」

「あ、はい!!」   

あわてて沖田に駆け寄った。
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