遠い宇宙の果てで
クズの中で残るはめになってしまい、彼は外界と接することがほとんどできなくなってしまったんだよ。でも彼は恩人のために一生懸命戦うつもりなんだ。このことはコーデニウスに秘密な。」
そう告げてマデランは愛美の部屋を出て行った。愛美はしっかりとそのことを記憶に留めた。その日はまだ初日だからということで、ウォールデンに言われて愛美はお城の周辺の散歩をポケットの中のピノと楽しんでいた。ルビナスの好意で箒の後ろに乗っけてもらって空中遊泳を楽しんだりもした。その翌日のお昼から毎日3時間ほどの魔法の特訓が始まった。どんどん愛美はリターナスという魔法の腕を上げ、1か月後についにLV20に到達した。実際この星で戦っていくのにふさわしい力がついたのがLV20だとウォールデンは愛美に伝えてあった。毎日練習を真剣に頑張った自分を愛美は誇りに思っていたし、そんな愛美は、ウォールデンのいう幸福というものが何なのかわずかに分かったような気がしていた。「あとは実践でLVアップをするのみだ。」とウォールデンは愛美に伝えた。


その次の日から、フィレネ王女を筆頭に愛美たちの旅が始まった。フィレネ王女は王女らしく煌びやかではあれども動きやすく戦闘にふさわしい恰好をしており、剣を帯に差して杖を帯に縫い付けられた杖入れに入れていた。
「王女さまは剣術もできるの?」
愛美はこっそりウォールデンに聞いた。
「フィレネさまはかなりの体力の持ち主で、魔法が効かないことがあっても兵士のように気にせず剣を使って戦うんだ。まぁ悪いことではないよ、ちょっと活発すぎる王女さまだから私らがかくまってやらねば。」
とウォールデンは半ば笑いながらその質問に答えた。
「なんてたくましい王女さまなんだろう・・・。」
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