妖精なアイツ【完全版】
「向井さん!」


そこにタイミングよくやって来た小野田くん。こちらに向かってくる。


「来てくれたんだね!向井さんと桜井さん…それに岩松くん。」


「僕達知ってるのかい?」


「もちろん!二人はちょっとした有名人だもんね。」


小野田くんはニコッと笑った。
やっぱりイケメンだ。


「ほら!ナオ、渡しなよ!」


コソリとそう言った。
ナオは黙って頷いて、小野田くんに近付く。


「試合…頑張って。」


そう言って、少し震えた手で、手作りのおまもりを差し出した。
小野田くんはしばらく固まって、ナオとおまもりを交互に見る。


「…まじで?ありがとう!」


少し素になった彼は、笑ってそれを受け取った。


「あ、俺そろそろ行かないといけないから…これ、ありがと。」


小野田くんはそう言って去って行った。ナオは顔を赤くして固まったままで、そこに停止していた。


「き、緊張した…。」


ハアーッとため息をついて、ナオはそこにうずくまる。


「よく頑張ったね。後は、静かに応援してようか。」


「…うん。」


ナオの瞳は、真っ直ぐ彼の方を向いていた。
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