音のない世界







「何?」






「…まだ入ってきて
いいと言ってないぞ」



お父さんは
あぁだこうだと
海斗に説教を始めた。






「羽菜、

その間に
早く支度してきなさい」






私は
ごちそうさまと、

手を合わせ、




いそいそと


支度をした。






「…じゃあ、



行ってきます!」


海斗が言った。



私も

手話で伝える。








「はい、

いってらっしゃい」






「おい、海斗!



羽菜を事故に遭わせたら


ぶっ殺すからな」








「わかってるよ!」







私は思わず笑ってしまった。




「なんだ、羽菜?


おかしいか!」





"言いすぎ"






「なっ…」






「お父さん、
あんまり言うと

羽菜に嫌われちゃうわよー」




お母さんは私にわかるように、手話で話した。





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