黄昏色に、さようなら。
「純ちゃん!」
「うん?」
「どうして、後をつけるの!?」
なんで監視するようなねちっこい眼差しで見るのよ? とはさすがにい言えず、とにかく現状打破をもくろむ。
「は?」
「どうして、私の後をつけるのか、聞いてるのっ!」
見ているだけならまだしも、後をつけるなんて変だ。異常だ、ストーカーだ。
どんな答えが返ってくるかと身構えていたら、パチパチパチと三回瞬きをしてから、拍子ぬけするような答えが返ってきた。
「別に、つけてないけど?」
「だ、だって、現に今っ――」
つけてるじゃないの。
と言おうとしたら、「俺もトイレに行きたいだけなんだけど?」と、ニコリと言われてギョッと固まる。
一秒、二秒。
痛すぎる沈黙が、二人の間に落ちていく。
や、やだ、私の考えすぎ!?
「ご、ごめんなさいっ」
自意識過剰な自分に気づき、頬に血が上る。
思わず俯き、さっと壁際に身を寄せ、『さあどうぞ』とトイレに行くよう純ちゃんを促した。
「……俺の方こそ、ごめんな」
「え?」