黄昏色に、さようなら。
ちょっ、ちょっ、ちょいまちっ!
今なんて言った、このお人。
お前が居た世界に似ているが、全く別の世界?
パラレル・ワールド?
何、その超・SFかつファンタジーな展開はっ!?
いやいやいや、待てよ。
常識的に考えて、そんなことが起こるわけはない。
ってことは、これは冗談だ。
そう、質の悪い、冗談っ!
「いや、残念だけど冗談じゃないんだ……」
「え?」
今、私、声に出して言ってないよ……ね?
疑惑の眼を向けていたら、純ちゃんが少し『しまった』的な表情を浮かべて咳払いをした。
「悪い。本当は勝手に他人の心を読むのは、マナー違反なんだ。でもお前の思考って無防備っつうか、ダダもれ……」
ゴニョゴニョと語尾を濁しつつ、困ったように鼻の頭をポリポリかく純ちゃんの顔を、穴があくほど見つめる。
ま、まさか。
夢うつつの中で感じた純ちゃんの手の温もりと、頭に直接響いてくる不思議な声。
苦しさが見せた幻なんだと思っていたけど、本当に心が読めるなんてこと……。
「あるんだ、これが。正真正銘、俺は心が読める。ついでに言うとESP全般の特A級の能力者なんだ」