黄昏色に、さようなら。
なに?
なんなの? この位置関係!
純ちゃんの膝上、五十センチ。
真上に浮かんだまま、私は涙目になりながら純ちゃんを見下ろした。
「信じた?」
こくこくこく。
必死に頷き、早く降ろしてと目で訴える。
「それは良かった」
「ひゃっ!?」
フッと浮遊感が消えた次の瞬間、今度は真下に自由落下で、声がひっくり返った。
落ち行く先は、両手を広げて待ち構える策士様の、膝の上。
ナイスキャッチで、お姫様抱っこに収まり、にっこり満面の笑みの整った顔をまじかで見て悟った。
この人は、純ちゃんだけど、
私の幼なじみの純ちゃんではない、と。
そして、信じざるを得ないこの事実。
私は、どうやら、
異世界に、迷い込んでしまったらしい――。