月の恋


暁岾は小さく微笑みながら生綉姫の問いに答える。

「はい、…私達下の者の手伝いをするや名前に“様”を付けないでほしいなど言われたお方は貴女だけです」


『ふ~ん、……やっぱ変なとこですねココわ。まぁ~でも情が厚いんだけわ分かります』


「“情”ですか?私たち…化け物に情などありませんよ」


『じゃぁ何で暁岾さんは皆から信頼されてるんですか?』

「え?…信頼など、皆、怖がって……」

『確かに怖がってるけど皆、信頼してるって目してますよ、さっきの鈴さん?とか走って来た人でも慕ってるって言うは見ててわかります…信頼は人を信じてるってことですよね?心を持ってへんかったら信じるなんて感情ないし、うち的には妖怪でも人でも“心”ってもんわ同じに持ってるって思うんです。』

そんなことをヘラっとした顔で何でもないことのように言う少女に、確かに…


「…私達下の者は妖怪になれなかった者の集まりなんです…なりそこないに感情などない“心”などないそう言われ続けてきました…ですがやっぱり私もあると信じたいです」



“心”が温かくなるのを感じる。


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