-Judge-

片手で器用にその蓋を開けてみせた彼は、それを左右に揺らして言った。

「君の家族だよ。」

「…」

「驚き過ぎて言葉も出ない?」

「なんで…」

「なんで?だって君のお母さんがどんなに弱っても握り締めて離さないからさ。思わず殺っちゃったけどね。」

「…」

「本当に何も知らないんだね。君の組織のボスが君の両親を殺せと私に依頼してきたのに。だからさ、復讐したいのなら君のボスに…」
「お前が殺したのか。」


男の言葉を遮って出た声は、自分でも驚く程に低かった。

「お前が、母を殺したのか。」

「だったら何だ。結局お前が此処にたどり着くまでの時間を無駄にして生きてきたのには変わりないだろ?」

そう言って、窓に向かって男が放ったペンダントは一瞬で視界から消えた。
自然と動いた身体はロケットの行方を求めて、窓際に縋り付いていた。

悲しさがどっと溢れ出して言葉を失う。だって、こんなのひど過ぎる。


「レイ!」

突然の叫び声と、ぱんっと聞こえてきた銃声。
一瞬何が起きたかは分からなかったけれど、覆いかぶさってきた誰かの身体をどうにか受け止める事で、その時の状況を把握した。





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