-Judge-

連れていかれたのは親がいない子供達が預けられている保育所だった。

「此処はJudgeの表の仕事場です。」

そう説明する彼の姿を見つけて、何人もの子供達が走ってくるのを驚いて見つめた。


「刀夜さん、こんにちは!」
「うわあ。この綺麗なお姉ちゃん誰?」
「もしかして、彼女!?」
「綺麗な髪の毛、ミツ君と一緒だね!」


ふと子供達の口から出た名前に、思わず刀夜さんの顔を見遣る。

「彼女じゃないよ。」

そうやんわりと答える彼は笑っていて、持っていた鞄を落としそうになったけれど、なんとか堪えた。


「あ、刀夜さん。」

後ろから聞こえてきた声に振り向くと、今度こそ持っていた鞄を落としてしまった。

「…子供達の前ですよ。」
耳元でそう囁く彼に、けれど冷静さを取り繕うなんて無理な話。



印象強い金の髪は短く爽やかに切り揃えられていて、笑うと細まる瞳はとてもあどけない。
幼いながらにモテそうな甘いマスクのミツ。
それは、私が知ってるミツじゃなかった。彼は、今の姿が想像出来ないくらいにまだ幼かった。歩くのもままならないで、母親の腕に抱かれていたのに。





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