ラブトラップ
慌てる私の言葉に、南はくすくすと楽しそうだ。

「了解。
 いい?
 恋をすると、パワーもマネーも必要ってこと、よく頭に刻んでおいてね」

「はぁい」

元気な南とは裏腹に、私はがくりと項垂れる。
恋愛初心者にとって、なんって恋愛って厳しいものなのかしら。


まぁまぁ、と、南は私の背中を叩く。

「折角好きになったんじゃない。
 結果はどうあれ、楽しまないと損だって。
 情報を集めたら、次のノウハウに進めるんだから」

「次のノウハウ?」

「そう。
 楽しみに待ってなさい。
 じゃ、明日の放課後。
 クレープ、楽しみにしてるわぁ~」

うきうきした南の背中を、見送る意外に私には、何一つ出来ることなんてありそうになかった。
< 48 / 90 >

この作品をシェア

pagetop