ラブトラップ

「そういうこと。
　いつまでも私が拘束されることを心配した智也からの素敵な妥協案よ」

「――あの、斉藤くんにクレープ奢るのは別にいいけど、どうしてもう一つ奢らなきゃいけないわけ？」

別段、ケチるわけじゃないけど。でも、二千円の出費って、痛いじゃない。

「仲介手数料に決まってるわ。
　それに、ね、リン。
　それが嫌なら、明日までに自分で全部情報攫ってきなさいよ。
　私はどっちでもいいんだから」

空になったお弁当箱を手際よく片付けて立ち上がろうとする南の手を慌てて掴む。

「だ、ダメダメ。
　分かったわよ。クレープ二つね、ご馳走するから。
　斉藤くんに頭下げといて、私の分まで」