絶望の海 【青春・友情】


「さて僕は今日この駅で死ぬ、彼女と初めて会ったこの場所で、同じく婚約を拒否されて、別れを告げられたこの場所で」

「頑張って…」

なぜか私の口からそんな言葉が漏れた。

「君もね」

そう言いって少しだけ笑い男は席を立ち、私もつられて席から立ち上がった。

「じゃあ、さようなら」

「さようなら」

短く言い交わし私は男の背中を見送った。


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