ヘタレ男子の恋愛事情
「…もしもし?」

恐る恐る電話に出る。

「今着いたから今すぐ来なさい」

冷静だけれど、低い声。
…相当怒っているみたいだ。

「今行きま」

す、までは言わせてもらえなかった。

「資料は?」

早口で、短い問い掛け。
僕は急いで答える。

「貸し出し中で、ないんです」

「タイトルは?」

「ブルードルフィンっていう、イルカのです」

「じゃあ、とりあえず近くの本屋回るわよ」

「分かりました…」

電話を切ろうとした僕の腕を、何かが引っ張る。
彼女が、僕のトレーナーを掴んでいた。

持っていた本を僕の目の前に掲げている。
反射的に受け取って、本を見る。



僕の手にある本は、


『ブルードルフィン~沖縄で出会う友達~』


ぼくが探していた、


写真集だった。



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