黒猫 - 迷子の不良黒猫ちゃん - 【完】
俺は肯定の意味を含め、頷いた。
すると、ポチはそうッスか……と言った。
「九条さん………友達は1人って言ってたんス。
実は俺も九条さん呼び出したことがあって、そのとき子分が言ったんスよ。」
ーー…お前と友達になる奴はバカだって。
そう言ってポチは俯いた。
「そしたら九条さん。キレたんスよ。眼鏡踏んづけてまで。それまで何言われても平然としていたのに………それほど、その友達が大事なんだな、って思ったッス。」
唯一無二の友達。
大事なんだろうな、鈴にとっては。
誰よりも。
「でも、よく考えたら、それって悲しくないッスか?
俺、九条さんが“その友達を大事にしなきゃ”っていう思いに縛られてるようにしか見えないッス!」
「………え?」
俺はハッとした。
そう、アイツは約束を守っている。
だから1人でいる。
だから友達を作らない。
するとポチが俺の手を握った。
「お願いッス…。九条さん、ときどき悲しそうな顔をしてるッス。
………九条さんを、元気にしてやってほしいッス。」
その言葉を聞いた俺はフッと笑った。
「誰に言ってんだよ。
そんなこと、…当たり前だ、ボケ。」
そう言い残して俺は教室へ向かった。