Soft Luck ―ファンタが街にやってきた―
「こんばんわぁ」
明るく、実に明るくふぁんたが会社に入ってきた。
「やあ、こんばんわふぁんた君。よく似合うじゃないですか。やっぱり体格がいいとタキシードは決まりますね」
「ありがとう、スージー」
ふぁんたはニッコリして言った。
「それより先日はご馳走になっちゃって。僕お礼にクッキー焼いてきたの」
ふぁんたが黄色いリボンの箱を手渡すと、スージーは感激のあまり顔を紅潮させた。
「わざわざ僕のために?」
「と、言いたいとこだけど、実は丸山主任の家に持っていくののついでなの。ホントのお礼は次の機会に必ずするね」
「いいんです、いいんです。これで充分」
スージーは箱を抱きしめた。