【短編】君に捧げる『物語』


手を下ろし、再び僕の方へ目線を移し歩み寄ってくる塚本。

そして僕の前まで来ると、ゆっくりと、手を差し伸べてきた。


僕は彼女の手を取り、引っ張られるような形で立ち上がる。


「………」


うっすら笑いながら、僕の顔をのぞき込んでくる。

僕のリアクションを待っているのか。

この表情はきっと、ニヤニヤしたものだ。

僕の反応を面白がっているんだ。


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