ローレライ



砂浜にへたりこんだあたしの目もとを、歌い終わった彼は細くて長くて少し男らしい彼の指で、優しく拭ってくれた。



「ッゼンーあんたやることがいちいちきざすぎ」


「そう?」


「そうだよ!」



「……」




あたしがあまりにも必死に頷いてたから、二人で顔を見せ合って笑い合った。




ゼン、不思議だね…。あたしらさっきまで別々の世界で生きてたのに、今はこうして笑い合ってる。


こんなの「知り合い」なんていう関係なんかより脆いものなのに、確かに同じ場所に存在してる。




「神様があたしにくれたプレゼントかも」


「何?」





< 4 / 7 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop