放課後姫とヤンチャな騎士
不定期に載せられていた『ワンコ物語』は、最新号で寂しい結末を迎えたままになっていた。


「…ワンコは俺だ…」


剛志は最新号を見つめながら呟いた。


「剛志…?
そろそろ…」


「行くぞ!」


陽太の言葉を遮って、剛志は教室を飛び出した。


「えっ!?
どこに!?」


陽太も慌てて後を追う。


「お前のクラスだよ!」


剛志は怒鳴るように叫んだ。


「…だから今『そろそろ当番の時間だから』って、クラスに誘おうとしたんじゃん…」


陽太は剛志の後を追いながら、拗ねたように呟いた。


剛志は陽太の事などお構い無しに、どんどんと突き進んで行く。


乃里子に会いたい、その気持ちだけが先走っていた。
< 182 / 219 >

この作品をシェア

pagetop