放課後姫とヤンチャな騎士
「いえ、そんな…」


幸助は恐縮したように頭を下げた。


「私、楓さんが大好きなんです…
お優しくて、穏やかで、本当に良いお嬢様だと、学園でも有名ですもの。
ですから是非、お力になりたいんです…」


乃里子が言うと、幸助は頭をかきながら微笑んだ。


「その、実はですね…」



…−−−−−…



調度その頃。


剛志は神谷のトラックを、暇そうに見つめていた。


その日の朝、神谷はいつも通りに出勤し、間もなくして会社を出て来た。


そのままタクシーを拾うと、得意先と思われる会社を数件回った。


そのあと再びタクシーに乗り込むと、かつて勤めていた営業所に向かった。


作業服姿で営業所を出た神谷は、トラックに商品を積み込み、そのまま数件の店を回った。
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