さよなら。愛しき人
「さようなら…、だろ?」
わたしのほっぺから、手が離れる。
さようなら。
何故わかるのだろう。
「……うん…。そう。遠い…都会に引っ越すんだ。」
ゆうりの顔を見るのが怖くなって、下を向いて話す。
ゆうりは、どう思うだろう。
嫌われるかもしれない。
変な女だと思われるかもしれない。
それが何よりも怖くて…。
ゆうりの顔を見ることが出来ない。
「恵理香…、上向いてみ?」
ゆうりの声がして、上を向く。