《実話》道〜私がつけた足跡〜
顎だけじゃない。

手が…足が…体全部がガタガタと震えている。

どんだけ泣けばこの恐怖は消えるのか…

どんだけ我慢すれば潤君の暴力はなくなるのか…

体を小さく丸め、夢咲はただひたすらに、我慢した。

痛い…恐い…

殴り疲れた潤君は夢咲の真新しい靴を持ち、玄関へとむかった。

力が入らない夢咲はその光景を顔だけ動かし、生気のない目で見るしかできなかった。

キィーっと鳴った玄関の音は、またすぐにキィーっと鳴って夢咲の耳に響く。

大広間に戻ってきた潤君は笑顔で夢咲を見つめる。

相変わらずの冷たい瞳で…

「後で拾っとけよ。

もうないかもしれんけどな。」
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