教室バロック
「 そうだ!! 昨日ね?!
ミツコから電話来たんだよ?! 」
「 …またかよ
アイツ マジでオレらの事
無視してんのか?!
こっちには全然…
向こうに着いて一回きりだぞ
しかも住所書いただけの
全員同じ内容のメールな 」
「 ふふ〜ん
愛の歴史が違うのよ〜だ 」
嬉しそうな比奈が、一度手を擦って
自分のポケットに手をいれ
「んじゃ教室戻るね〜」と笑う
「 空哉! 乾に、了解とれた!
数学の時間後半、
スミス先生のお別れ会の準備に
使っていいってよ! 」
職員室から走って来た、橘の報告に
教室中から『 おお!! 』の声が響く
「 サンキュー!!橘 」
すぐに
橘の後からなだれ込んで来た
佐知子やタマから、抗議の声
「 ちょ〜っと〜
私たちにも お礼は〜?!
も〜 乾の肩もんだりとか
大変だったんだからね〜? 」
「 じゃあ、飴やるから来い 」
「 飴かよおおお 」
それでも
もらいに来た二人を見て
真田が本に、顔を隠して笑っている
「 …ま〜
なんのかんの言って、乾もかなり
淋しそうだったかな
ほら、Mr.スミスって、人懐っこいじゃん?
乾にも気にしないで声かけてたから 」
チャイムが鳴り
比奈が慌てて教室から出ていく
一時間目は数学で
二時間目は、スミス先生との
お別れ会だ