教室バロック





もしかしたら、
直接話をするのは
初めてかもしれない那智が
大きな溜め息を付きながら、
湯浅の肩を叩いた


「 …空気読もうよ な?
皆なにげな〜く、スルーしたってのに 」


「 え、 え?! 」



湯浅は悪くない

… オレも少しだけ聞いた話によると
数年前、パーティーの日に
卒業を控えた三年のカップルが
学校内でHしている所を発見されて
大問題が起きたからだ


『 でも、マジでなんで? 』と
首を傾げる伊藤の耳元に
那智がボソボソと、真相を語っている


すると伊藤は、けらけらっと笑って
「 …パーティーなんて中止しても
ヤル場所が変わるだけじゃんね? 」
と笑った


困った様に笑う花さんと
察した湯浅が、
顔を真っ赤にしてうつむいて
那智が再び、笑い声をあげる



「 とっ とにかく!
明日は終業式で、
あさってはクリスマスよ!

初詣行ったり、
旅行行ったりあるだろうけど
ケガ無く新学期を迎えようね! 」


は〜い と皆で笑いながら

「 必死に先生ぶらなくていいって 」
と言うと

「 何それ! 」と、花さんの
トレードマークみたいになっている
頬まで隠れたニットキャップを
両手で抑えながら、口を尖らせて膨れた






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