gently〜時間をおいかけて〜
gently1〜未来からきた男〜
大学になじめない。

後期の授業が始まってから、もう2ヶ月が経った。

11月にも入れば猛暑は収まったけど、その代わりと言うように寒さがやってきた。

北から運んでくる風は躰を冷やすだけじゃなく、あたしの心までも冷やした。


「――ヒマだな…」

大学の近くにある小さな喫茶店で、あたしこと坪倉莢(ツボクラサヤ)は時間を潰していた。

スマートフォンのディスプレイを見て時間の確認をすると、もう30分が過ぎていた。

画面右上のバッテリーを見ると、50パーセントを切っていた。

今年の夏に機種変更したばかりのスマートフォンは、大画面と言うこともあってかバッテリーの消費量が早かった。

あたしはこれ以上バッテリーを減らさないようにするために電源を切ると、カバンに入れた。
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