gently〜時間をおいかけて〜
こんなにもヒマならば、まじめに講義を聞きに行けばよかったな。

そもそも大学なんて、自分が選択した講義に出て、テキトーに話を聞いて、テストに困らない程度に講義の内容をルーズリーフに書き込めば簡単な世界である。

教科書にノート、時には問題集と範囲が広かった中学高校時代とは大違いだ。

講義の内容をルーズリーフに書き込む作業は、幼稚園児でも簡単にできる。

それに、前期で痛いくらいにわかったじゃないか。

ちゃんと単位を取得しないと、成績発表の時に悪夢を見ることになるって。

それは骨身に染みるほどわかったことなのに、1度ついたサボり癖は治ることを知らなかった。

たぶん、あたしはサボりの常習犯として教授たちの頭の中のブラックリストに乗っていることだろう。

あたしが講義に出たくなかった理由はもう1つあった。

それは、誰かと誰かが仲良くしているところを見たくなかったのだ。
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