gently〜時間をおいかけて〜
「…持ってるけど?」

あたしもカバンからスマートフォンを取り出した。

「アドレスの交換してもいい?」

「えっ?」

そう聞いてきた三島くんに、あたしは戸惑った。

まさかの展開だ。

アドレスの交換って、あたしと三島くんの?

何で?

何を思って、あたしとアドレスの交換をするの?

「いいよ」

そう返事をした瞬間、航の顔が頭の中に浮かんだ。

そうだ…。

この人はあたしの夫で、航のお父さんなんだ。

忘れかけていたその事実に、あたしの胸が痛んだ。
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