gently〜時間をおいかけて〜
今思うと、三島くんの腕を振り払ってでもいいから、追いかけて訳を話せばよかったと思う。

なのに、あたしは何をしたの?

三島くんにされるがまま、あたしはどうすることもできなかった。

「――バカだな…」

あんなものを見たら、ショックを受けるのも当然だよね?

きっと航は、出て行った。

あたしの前から、消えて行った。

最初からそこにいなかったと言うように。

まるで煙のように、あたしの前から消えてしまった。

ねえ、航。

あなたはどこに、消えてしまったの?

何も言わないから、あたしの前に戻ってきて。
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