gently〜時間をおいかけて〜
「あたしと父親、航はどっち似だと思う?」

もう1度、今度はわかりやすく航に聞いた。

航は少しだけ考えた後、チラリとあたしに視線を向けた。

「“莢”でいいよ」

あたしが言ったとたん、航は驚いたように目を見開いた。

「お母さんって呼ぶのも、何か変でしょ。

だから、名前でいいよ。

“莢”って呼んでもいいよ」

両親しか呼んでくれないんだし、誰に名前を呼ばれても別に構わない。

「――莢、かな…」

しばらく考えた後、航が言った。

すぐに、
「やっぱり変な感じだな」

ふうっと、航は息を吐いた。
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