gently〜時間をおいかけて〜
「――好きだよ…」

ただ、君だけを。

その気持ちを込めて、莢の耳元でささやいた。


愛してるは、言わなかった。

そう言ってしまったら、俺の中の莢への気持ちがあふれてしまうからだ。

「――莢…」

莢はよく眠っていた。

忘れないように、俺は彼女の寝顔を見つめた。

自分は、未来で生きている。

そして、莢との関係は親子だ。

枕元に置いていた携帯電話に手を伸ばすと、時間を確かめた。

「――5時か…」

外はまだ暗い。
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