gently〜時間をおいかけて〜
本当に、親子だな。

そんなことを心の中で呟きながら、あたしはコーヒーを飲み干した。


「ちょっと早かったかも」

講義室の前で、あたしは呟いた。

もう少しだけマックでのんびりしていればよかったなあ。

でも、のんびりし過ぎて遅刻になるのも嫌だ。

あたしは講義室のドアを開けた。

開けたとたん、
「――あっ…」

すでに先客が座っていた。

その先客は、三島くんだった。

あたしの夫になる人で、航の父親の三島くんだ。

彼はもうすでに椅子に座っていて、スマートフォンをいじっていた。
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