gently〜時間をおいかけて〜
とは思ったけど、そんなものは何も隠されてない。

「とりあえず、はい半分」

航が半分に切り分けたプリクラをあたしに差し出してきた。

「あー、ありがとう…」

少しだけ複雑な思いを感じながら、あたしはそれを受け取った。

キレイ、か。

あたしはプリクラを見つめた。

たった今葬式に行ってきました的な顔のあたしが写っていた。

航の方がよく写っていると、あたしは思う。

顔立ちは整っているし、芸能人だって言われても疑われないだろう。

そう思いながら、あたしはカバンの中にプリクラをしまった。

本当は葬式顔のプリクラなんてさっさと捨てたい訳だけど、捨てれなかった。
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