gently〜時間をおいかけて〜
いつものように大学に到着すると、2限目の授業が行われる教室に入った。

椅子に腰を下ろして、スマートフォンをいじっていたら授業の始まりを告げるチャイムが鳴った。

あたしはサイレントモードにしたスマートフォンをカバンの中に入れると、代わりにペンケースとルーズリーフと教科書を取り出した。

それらを机のうえに置いた瞬間にドアが開いた。

今日は先生くるの早いな。

そう思いながら視線を向けた瞬間、すぐにそらした。

入ってきた人は先生じゃなくて、三島くんだったからだ。

そうだ、彼もこの講義を受けていたんだ。

ガタッと、隣の椅子から音がした。

そこに座ったのは、三島くんだった。

…何で、あたしの隣に座ったのよ?

そう思って周りを見たら、すでに満席だった。
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