いつかのMerry Xmas
――プレゼントって、何?

意味を理解できないままに、イチローのバンドがステージに上がっていく。

なんていうか、腹が立つほど上手くフルート吹いてるんですけど、あの男。

この後私に吹けなんて、恥をかけと言ってるも同然じゃない。

――ああ、腹立つ。

次のバンド(つまり、私が属しているバンド)の準備でやってきたギタリストにグチを言う。

「ゴメン――。
 イチローの馬鹿に捕まっちゃって。キーボード、運べる?」

「誰かに言っとく。
 あ、これ、クラッカー。タイミング間違えんなよ」

「大丈夫よ」

私は、クラッカーをポケットにしまいながら笑顔を作る。

ちなみに、うちのバンドはイチローのそれとは違い、そんな即興の演出なんてしない。

念入りに、念入りに打合せを重ねて、完璧なステージをキメたいタイプの連中が揃っているから。
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