いつかのMerry Xmas
去年のクリスマスに、ある人に告白したけれどフラれた男の切ない気持ちを、ハイテンションで歌い上げるのかあの曲なのに――。

何故かイチローはそれをスローバラードに仕立てる。

しかも。
私の目の前にマイクがあれば、これは――。
コーラス、しないわけにはいかないわよね。

きっと。

『あつものに懲りて― というやつで
距離を置いてみるけれど やっぱり君に目が行ってしまう
ねえ君 僕のこと眼中にある?
一年たつけど そんなの僕には驚くことじゃない』

イチローはそこまで唄うと、「Happy Christmas」と囁くように言う直前、私に視線を送る。

仕方が無いので、その続きは私が歌う。

そこに綺麗に入ってくるドラムスの腕は、たいしたものだと思った。

『これ包んで送ったんだけど
メモの「愛してる」は 僕のほんとの気持ち
わかっているんだ 馬鹿なやつだってことは。
でももし君がキスしてくれたら また騙されるだろうね』
< 34 / 83 >

この作品をシェア

pagetop