ひざまくらの後は?
智くんが好きすぎる私に耐えられるはずもなく、胸元のシャツを握ったままボスッと顔もその胸に埋める。

「この体勢は、恥ずかしいです……」

「ひざまくらは勝手にするのにこれは恥ずかしいのか」

「だってぇ、顔が近いと緊張するんです〜」


よしよしと私の頭を撫でながら、

「悪くねえな」

この体勢。と智くんの楽しそうな声が聞こえる。



「あの家に、姉は住んでないのか?」

あの家とは駅の西口にある私の住んでいる一軒家のことだ。

今いる智くんの家とは駅を挟んで反対側にある。

「はい。お姉ちゃんは大学卒業と同時に一人暮らしをしていて、うちの家とは電車で20分くらい離れたところに住んでます」

「だからお前の家でも、この辺りでも見かけたことないのか」


家の前まで送ってくれたり迎えに来てくれたこともあるけど、智くんがお姉ちゃんと遭遇したことはなく。

さらに、

同じ駅を利用している私たちはまだ4ヶ月くらいの関係でも偶然何度か出会っているし、お姉ちゃんとそれより長い付き合いなら一度や二度、見かけることもあると思ったのだろう。

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