ひざまくらの後は?
「お姉ちゃんは小さい頃から何でも出来て、本当に優秀な子だったんです」






姉の鈴音(すずね)は小学校のときから勉強は学年で1番だったし、体操教室やピアノを習っていたので運動も音楽も何でもできた。

両親はそんな姉が自慢の娘で、姉の成長や経験のためには時間もお金も惜しまなかった。


授業参観の日にちと時間が被ったとき、母は迷わず姉の授業を観に行った。

「天音、お母さん今日は鈴音の授業を観に行くからね」

「え、でも」

「お姉ちゃん、コンクールで賞をとった読書感想文を発表するのよ、すごいわよね?」

「うん……、でも天音も」

「天音もお姉ちゃんみたいに頑張りなさいね」

「……うん」


涙がじわっと浮かんできたけど、泣いたところでお母さんの気持ちが変わるわけではない。

泣いて困らせたいわけじゃない。


天音がもっと頑張れたら……。
お姉ちゃんみたいに上手に出来るようになれたら、天音の授業も見てもらえるかな。

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