ひざまくらの後は?
「っ、……そうですね」

俯く私を姉が見ているのがわかった。


ストレートで辛辣なその言葉が胸に突き刺さる。

どうして私が出来ないのか理解できないんだろう。

なんでも器用にこなせるから、出来ない人の気持ちがわからないのかもしれない。


「あ、ラデュレのマカロンじゃん!」

「これは……」

今日、クラスのお友だちから貰ったマカロンのケースが私の前に置かれている。


「天音の?ちょうだいよ」

「……はい、どうぞ」

甘いものが好きな姉はよく私の分も貰おうと私にねだってくる。

それは小さい頃からの習慣で、私はそれを拒否出来ず姉に渡していた。

本当は私も食べたいけど、姉より甘いものが好きなわけでもないしどうしても食べたいわけでもなかったのでいつもはそれでもよかった。


だけど、
今日のこれは。このマカロンは。

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