‡いとしきみ‡
やり切れなくなり、
 
 
「帰るわ」
 
 
とだけ稔に伝え、教室を飛び出した。
 
靴に履き変え、駐輪場で自転車に跨(マタ)がる。
 
力無く自転車を漕いで帰る俺…。
 
 
朝の気分とは打って変わって、朝より暖かいはずの空気も、この吹きすさぶ12月の風も、葉が落ち、淋し気な木々達も…
 
 
何もかもが虚しく、色褪せて見えた。
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