俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
悠由悲痛な想い
「悠由ちゃん…」
その場に座り込んでしまったあたしを慰めるように、肩に手を置く玲菜さん。
「っ……」
どうして…? 先輩…。
どうしてなにも言わずにいなくなっちゃったの?
先輩の…ばか。うそつき…。
「…帰ろうか」
吊ってはいないものの、ままならない右手。
その手で先輩の置き手紙を掴んだ。
「? 悠由ちゃん?」
「……帰ります」
二人に軽く頭を下げて、下を向いたまま駆け出した。
そのまま勢いを弱めることなく家まで走る。
足を止めたら……きっと泣き崩れてしまうから。
先輩がいなくなった?
…うそ。うそよ。
そんなの…うそに決まってる。
必死でそう言い聞かせ続けた。
家に帰り静かに玄関を開け、誰にも気付かれないよう部屋へあがる。
気を抜いた瞬間…この数日溜め込んでいた涙が、堰き切ったように溢れ出た。