俺様狼と子猫少女の秘密の時間①

あのときの電話……。

あのおかげであたしは、今先輩に会うことができたんだ。



―――……


『あなた、悠由ちゃん…よね?』


「え……?」


電話の向こうから聞こえてきた声が、予想していたものと違い…さらに女の人ということに面食らってしまった。


『急にごめんね。あたし龍樹の叔母の、千絵っていうの』


「は……?」


『事情は知ってるのかどうか知らないけど、省かせてもらうわね』


「は……?」


なにがなにやら分からない。

まったく状況を理解しないあたしをよそに、千絵さんと名乗る女性の話は続いた。


『龍樹は今あたしのとこにいる。身を隠してるの』


「……」


『だけどあの子もあれで限界なんだと思うのよ』


限、界…。


『きっと今の龍樹にとって一番大事なのはあなた。落ち着けるのもあなたのそば』


「……!」


思わず息を呑んだ。

携帯を持ち直し、改めて聞き入る。


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