らいおんとはりねずみ
「ある日突然告白される…なんてことを夢見てるんだけど…まだみたいなんだよねっ」
えへへ、と笑うみちる。みちるは毎日毎日、飽きるくらいに真鍋先輩に好きを伝えている。
嫌々みちるの恋バナを聞かされるけど、まっすぐなみちるのことを聞くのは実は楽しかった。
「衣李も一歩、踏み出してみない?」
箸で掴んでいたウインナーが転がり落ちた。あたしは拾うのも忘れて、みちるの目に見入っていた。
一歩、踏み出す。それで何か変わる…かもしれないんだ。
「みちる、あたし…踏み出してみる」
「…衣李」
「みちるの力強い説得を、無駄にしたくないから」
────…例え東村の視界に入らなくても、あたしは好きなんだと伝えるんだ。