十字架
―コン、コン。
「し、失礼致します。」
扉が鳴り、一人の男らしき声が聞こえた。
声からして、緊張している様子が社長他全員にわかった。
「誰だ。」
社長は扉の前で待っている男に話しかけた。
無論、座ったままで。
「八橋と申します。」
その名前は今回の問題を起こした社員の名前でもあった。
社長は『うん』と、扉横にいた女性に合図をした。
女性が両手で丁寧に扉を開ける。
これからが、八橋と言う男にとって長い『地獄』になる。