Snow Princess ~雪の華~
でも──

リリアは気づいていた。


マリン様は未だ私に自分を見せてくださらない
というより、猫をかぶっているといったほうが正確かもしれない


主人を理解し、いつでも付き従い、サポートする
それが従者の仕事だとリリアは思っていた。


だのに本質を見せてくれないことには主人の癖や欠点をカバーすることができない。


それはつまり失敗であり、マリンにとって辞めさせる口実を作ることとなる。

彼女が若干それを望んでいることはわかっている。
けれどもそれだけは絶対に避けたかった。



未だ私をほかの辞めていった子と同じだと思っているのかしら

私は簡単に辞めていった彼女たちとは違う
簡単にあきらめるわけにはいかないの



──なのに、これじゃ従者として働く意味がないじゃないの

< 10 / 432 >

この作品をシェア

pagetop