Snow Princess ~雪の華~
「私はすぐさま屋敷を辞めました。
そして、今までずっと仇だと思っていた……いや、思い込まされていた国の中枢。
すなわち城に勤め始めたのです。
そこでマリン様と出会い…今に至ります」
「あいつと親しく話していたのは?」
「私がここで働いていた間、彼女とも関わりはありましたから。
でも──」
リリアはそこで言葉を濁らせた。
でも、そんなことでマリンは満足しない。
先を促した。
「でも、何?」
「先ほど彼女が話していたのは、私に向かってではありません」
マリンは感情のない目でリリアを見つめた。
「マリン様の後ろにある鏡。それは城の書斎にある鏡と同じ、魔法の鏡です。
私はその鏡の力を使って、鏡に映る私を、彼女がもっとも信頼する人に見せたんです」
「だからあいつは簡単に騙された、と」
「ええ」