Snow Princess ~雪の華~
「外を受け入れない、争いから逃げてきた一族。
それに気に入った一人の神がいた。
ヤツは近くの山からオパールの原石に力をこめて、長に渡した。
この場所を中心としたこのオパールをかたどった形の大地にお前たち以外は入ることが出来ないと言ってな。
そうして出来たのがこの国だ」
「……」
「神のお膝元でこの国はできた。
他国は切磋琢磨して発展していくのを少しも知らないままにな。
新しく生まれてきた子たちには他国なんてことは一切教えず結界に閉じこもって…」
あまりの話にリリーは頭が痛くなる思いだった。
自分が持っていた歴史の常識がガラガラと崩れていく。
「だがここ最近、結界はひび割れて他国の勢いが入り込んできた。
何も知らない国民に他国の存在を気づかせないために、苦し紛れに外国人狩りなんてのもやってたが、知らない、だから知りたいっていう好奇心は抑えられないもんだろ?
知りたい国民、隠したい国。
その歪みは国の混乱と相まって大きくなり、抑えられなくなっている」